【勉強お役立ちブログ(英)】丸暗記不要~前置詞ofの核心~

どえらく久しぶりの「勉強お役立ちブログ(英)」(汗)。今回のテーマは前置詞ofの核心!中学生だとそれほど使い方に苦労しないofだけど、高校生になるとこれがまた結構厄介。さまざまあるofの使い方をここで一気にスッキリさせてしまおう。

まず、次の例文をご覧あれ。

This is a picture of my family.
「これは僕の家族の写真だ。」

まぁ中学生で初めて習うときの例文みたいなものだ。こういう例文からofの意味は「~の」なんて、日本語“だけ”で覚えようとしてしまうと後々混乱する。まず結論から言うと…

ofは「~の」という意味ではない!

こう断言してしまうと誤解を生んでしまいそうなので言い直そう…

ofは「~の」と日本語訳することが多いけど、日本語だけで覚えてしまうと何かと不便!(…長い汗)

ofは前置詞。そもそも前置詞は日本語にはない概念だから、日本語で覚えようとするとムリが生じる。前置詞はイメージで覚えることが大切。ofのイメージは以下の画像のとおりだ。

そう、ofは「所属からの取り出し・分離」!これがofの核心。ちなみにoffはofから派生したもので完全なる分離を表す。だから「接触」を表すonと対の意味を成すのだ。では、このofの核心を念頭に置いて例文を見ていこう。

① The capital of Japan is Tokyo.
「日本の首都は東京だ。」
確かにofは『~の』と訳すけど、Japanからthe capitalを“取り出す”イメージを持とう。

② She is the oldest of the four.
「彼女は4人の中で最も年上だ。」
『~の中で』とか『~のうちで』とかって訳すのが自然だから、そのような意味として覚えているだろうけど、これも、“取り出す”だね。the four(4人)からthe oldest(最も年上)を取り出すイメージ。

③ He is a man of ability.
「彼は有能な男だ。」
何かability(能力)のカタマリから一人のman(男)を取り出すイメージ。能力のカタマリから取り出された男、要するに「有能な男」ってことだよね。これを理解できていれば、たとえば、of importance=important、のような「of+抽象名詞=形容詞」も納得できるはず。

④ She robbed him of his bag.
「彼女は彼からカバンを奪った。」
これ入試頻出。この日本語だとついつい、She robbed his bag from him.としてしまいがち。まずrobという動詞は、そもそもの語源が「身ぐるみをはがす」というもの。だから、目的語には人がくる。そして、何から“はがす”のか、その分離を表すのがof。カバンから彼をはがす=分離する、というイメージ。これと同じような使い方をする動詞の代表例がこちら。

・The government deprived us of our liberty.
「政府は自由の状態から我々を引き離した。
⇒政府は我々から自由を剥奪した。」
deprive A of B(AからBを奪う)
※この「奪う」は地位や権力といった抽象的なもの
・This medicine will cure you of your stomachache.
「この薬はあなたの胃痛の状態からあなたを分離するだろう。
⇒この薬を飲めばあなたの胃痛は治るだろう。」
cure A of B(AのBを治す)

これらも、BからAをはがす・分離するとイメージしておけば解釈もしやすくなる。

もちろんこれで全てではないけれど、“核”を理解しておくと知識がなくても解ける(こともある)し、応用が利くようにもなる。もう一度言う、

ofは「所属からの取り出し・分離」!

頑張れ!中高生

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原形不定詞をとる動詞は5種類だけ!

 

【勉強お役立ちブログ】高3が秋からやるべき勉強は?

受験生にとっては“天王山”とも言われる夏が程なく終わる。
これから秋を迎えるにあたって、受験生が秋以降にやるべき勉強について簡単に述べていきたい。

受験生が秋からやるべき勉強①
共通テストレベルの問題
受験生が秋以降にやるべき勉強1つ目は、共通テストレベルの問題に取り組むだ。共通テストの過去問(赤本や黒本)を使うでもいいし、数学ならチャート式の共通テスト対策などを使うのでもOK。夏休みまでは基礎基本の定着が目標だったが、秋からは積極的に入試本番レベルの問題に触れていこう

受験生が秋からやるべき勉強②
志望校の過去問
受験生が秋以降にやるべき勉強2つ目は、「志望校の過去問に取り組むだ。
これは共通テストほどガッツリやらなくてもいいけれど、徐々に勉強スケジュールに組み込み、志望校の傾向に合わせた勉強をしていこう(共通テストの目標点に近づいてきたぐらいに)。ちなみに、志望校の試験で一切出ない問題はサラッと流す(解説を読む)程度でOK。早めに志望校の入試レベルに触れることで足りない部分を明確にできれば、効率的な対策ができるようになる

受験生が秋以降にやるべき勉強③
「抜け」があったら戻る
受験生が秋以降にやるべき勉強3つ目は、「『抜けがあったら戻るだ。
入試レベルの問題に触れてみて、明らかに抜けている、完成度が低い、と感じられた部分はすぐに戻って復習しよう。出来ていなかったところの類題を数題解く感じで補強していけばいい。しばらくするとまた「抜け」が生じるだろうけど、その度にちょっと復習していくことで、習熟度が確かなものとなっていく。

受験生が秋からやるべき勉強④
同じ問題を繰り返す
受験生が秋以降にやるべき勉強4つ目は、「同じ問題を繰り返すだ。
どんどん新しい問題を解きまくるよりも、同じ問題を「少し忘れてるかなぁ」くらいのタイミングの度に何度も繰り返すほうが勉強の効率は高まる今手元にある問題を見た瞬間に正解までの道筋が浮かんでくるくらいまで繰り返すのが理想だ。なお、文系理系問わず必要な英語は、兎にも角にも単語力。常に単語帳に目を通して単語力を確かなものにしよう。また、国公立や私立文系なら古文単語も同様。いずれも文法が少々あやしくても、単語力があればかなりカバーできる。

受験生が秋からやるべき勉強⑤
基礎基本を疎かにしない
受験生が秋以降にやるべき勉強5つ目は、「基礎基本を疎かにしない」だ。
入試レベルに偏ってしまうと、「ついうっかり」が頻繁に起こりえるため、基礎基本の振り返りは適宜やるようにしよう。英語なら文法、数学なら計算と、とにかく少しでも触れるようにすることで、ケアレスミスも減っていく。

最後に。
当たり前だけど、毎日勉強しよう。
ここから入試本番までは、勉強しない日をつくってはいけない。
自ら決めた道、最後まで走り抜け、やり抜け。
「次はガンバル」などと言うな。
そういうヤツは一生言い続ける。
今、ガンバレ!高3受験生!!!

【勉強お役立ちブログ】文章読解~選択問題の取り組み方~

本日は国語を苦手とする子向けの記事。特に読解の選択問題で不正解になることが多い子は是非とも参考にしてみてほしい。

まず、国語の選択問題で不正解になる原因の一つは、「『あれもこれも答えじゃないか?』病」に罹ってしまっているところにある。正解の根拠となる文は、傍線部や空欄の前後4~5行にある場合が多いのだが、本文中にそれっぽいことが書かれていると、まんまと引っかかってしまう。また、もう一つ(これやりがち)は、世間一般的に常識、妥当と考えられる選択肢を選んでしまうこと。たとえ世間一般の常識等に照らし合わせ、それが妥当であったとしても、本文中に書かれていないことは選んではいけない。

読解問題に弱い子の中には、そもそも間違った認識で問題を解いている子もいる。まずはそこを改めなければならない。ここを間違えていると、無意識のうちに「あなたはどう思いますか」の視点で選択肢を選んでしまいがちだ。ド基礎中のド基礎だが、読解というのは…

読み手(=あなた)の考えを問うているのではなく、あくまで筆者の主張を正しく読み取れるか問うているのだ。

さて、本題に入ろう。そんな選択問題で正答率を上げていくには、正解を“考える”ではなく、“絞り込む”意識で選択肢と向き合うこと。そう、基本的には消去法で不正解の選択肢を削っていくといい。次に下の画像を見て欲しい。これは、今年度(2023年度)の神奈川公立高校入試・問3(論説文)の一部。4択が基本の神奈川のため、“きちんと”読めば正解は絞り込める。この“きちんと”をどうするか。

画像にあるように、選択肢それぞれの文において意味のまとまりごとに/(スラッシュ)を入れてあることに注目してほしい。全体をサーッと読むだけで選択肢を絞り込める子はこんなことをする必要などないけれど、いつも間違えてしまう子はスラッシュを入れて一つひとつの文のカタマリを吟味してみた方がいい。例えば、
1.~~~/~~~/~~~。
2.~~~/~~~/~~~。
3.~~~/~~~/~~~。
4.~~~/~~~/~~~。
1.は、上3分の2までは本文に書かれているけど、下3分の1は誤り。
2.は、最初の3分の1が誤っている。
3.は、特に誤った箇所は見当たらない。
4.は、それっぽいことが書かれているけど、本文にその記述が見当たらない。
よって、3が正解、というような感じで絞り込んでいく。

まとめると、
①傍線部や空欄の前後を精読する
②消去法で攻める
③選択肢の文をスラッシュで区切る

国語はセンスじゃない。
「正しく読み、正しく解く」を積み重ねていけば必ずできるようになる。
そして「何となく」の勉強から卒業しよう。
ガンバレ!!!

追記:高校生向け勉強お役立ちブログ(英語)
なぜ文型が大事なのか
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不定詞・動名詞の違いって?
大学入学共通テストのリスニングって?
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倒置のルールって実は簡単

難関校合格のカギ、特色検査を攻略するには?

横浜翠嵐や湘南、近隣では小田原や平塚江南など、県下の進学重点校およびエントリー校で実施される“6教科目”ともみなされる特色検査。これをいかにして攻略するかが難関校合格のカギともいえる。

ちなみに進学重点校とエントリー校の特色検査の比率は以下のとおり。
※( )の数値が特色検査の比率。

【内申3:学力検査7の学校】
横浜翠嵐(3)、柏陽(2)、横須賀(1)、平塚江南(1)
【内申4:学力検査6の学校】
川和(1)、希望ケ丘(1)、横浜緑ケ丘(2)、多摩(2)、鎌倉(1)、湘南(2)、茅ケ崎北陵(1)、厚木(2)、大和(1)、小田原(1)、横浜国際「国際」(1)、横浜国際「バカロレア」(2)
【内申5:学力検査5の学校】
横浜平沼(1)、光陵(1)、相模原(1)

横浜翠嵐は13分の10(1300点満点中1000点)が当日の得点次第という、超実力重視の比率。

近年の特色検査(正しくは「自己表現検査」…だが、これの何が自己表現なのかもはや分からん…汗)の傾向は…
①問1以外は理系色が極めて強い問題群
②受験生が“freeze”してしまうような超難問は減少傾向
③県下の公立中高一貫校の適性検査に類似(小学生でも解ける問題あり)
ここでは③について少し述べていきたい。

こちらは県立中等の適性検査。

こちらは特色検査。

見ため的に分かりやすい問題を抜粋したけれど、サイコロを使った論理的思考力を測る問題。これら以外にも特色検査と適性検査はかなり似通ってきているため、適性検査の過去問も活用の仕方次第では特色検査対策として非常に有効だ。過去3年分ぐらいの問題と解答ならインターネットから自由にダウンロードできるので、この夏から少し取り組み始めてはどうだろう。

神奈川県立中等教育学校(適性検査Ⅰ)
神奈川県立中等教育学校(適性検査Ⅱ)
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校(適性検査Ⅱ)
横浜市立南高等学校附属中学校(適性検査Ⅱ)

理系色が強いため、サイエンスフロンティア附属の適性検査などは、結構オススメ。解き応えのある問題多し。

中高一貫校の適性検査の過去問等を通じて地頭(じあたま)を鍛えてから、実際の特色検査の過去問は秋以降に取りかかるのも大いにアリだ。ただ、耳にタコだが、5科の学力検査の得点力を伸ばすことが最優先であることは忘れずに。

頑張れ!中3受験生!!!

公立高校入試 第2次選考の“闇”

先日書いたブログ「公立高校の新制度入試について考えてみた」は、主に第1次選考について。今回は業界内で物議を醸している第2次選考について説明していきたい。ついでにこちらのブログ「変わる神奈川県公立高校入試」も参考に。

第2次選考の“闇”

“闇”というと大袈裟に聞こえるかもしれないけれど。実際“闇”だと思う。
これまで説明してきたとおり、今回の制度改定のポイントは、
①受験者一律の面接廃止
②二次選考における調査書(内申)の点数化

この②がヤバいのだ。改めて2次選考の基準がこちら(Bは学力検査の点数、Cは調査書の観点別評価「主体的に学習に取り組む態度」の点数)。

これまで第2次選考には調査書(内申)は一切含まれず、学力検査+面接(+特色)によるものだった。資料等が整わない受験者のためでもある。ところが、今回の改定では調査書がガッツリ含まれるのだ。観点別評価の一つである「主体的に学習取り組む態度」を、
A=3点 / B=2点 / C=1点として点数化し、
これらを9教科全てで合計点とする。
つまりオールAなら、
3点×9科=27点、
ということになるのだ。
そして、この点数を100点満点に換算し、各高校毎の比率に乗じる。

では今回も同じく、弊塾の中3に関わりのある西湘高校を例にとって説明していこう。
西湘高校の第2次選考基準は「学力検査8:調査書(観点)2」。XさんとYさんが受験したとする。
Xさん:観点オールA(27点)/学力検査320点
【学力検査】320×100÷500×8=512
【調査書】27×100÷27×2=200
【合計点数】512+200=712
Yさん:観点オールB(18点)/学力検査350点
【学力検査】350×100÷500×8=560
【調査書】18×100÷27×2=133
【合計点数】560+133=693

従来の入試制度なら圧倒的にYさんが有利。そりゃそうだ、学力検査で30点も上回っているのだから。ところが新制度ではどうだろう。学力検査で30点も下回っているにもかかわらずXさんの方が有利になるのだ。全ては「主体的に学習に取り組む態度」によるもの。これまでのような入試一発勝負が難しくなったワケはここにある。とはいえ、この主体的云々は、定期テストのような客観的な数字による評価が難しく、評価する側の主観に左右されてしまうのが実際のところだろう。授業に臨む姿勢や提出物関連の精度(期限もナカミも)等がこの評価に大きく関わるところだからだ。だから、「第2次選考の“闇”」なのだ。「先生に気に入られた者勝ち」があってはならない。

ちなみに、多くの高校が上記の「学力検査8:調査書2」の比率で、次いで7:3が多い印象だ(「専門学科・コース」などは除く)。その中にあって、6:4の高校がある。

藤沢西高校だ。

湘南地区にある藤沢西高校は、毎年人気の集まる高校の一つ。弊塾からも何名か進学している。比率8:2でさえ観点別評価次第では「入試でいくら点数を取っても…」であるのに、それが6:4ならなおのこと。たとえ成績に4や5が並んでいても、「主体的に学習に取り組む態度」がトータルで低くては、たとえ入試で頑張っても報われなくなってしまう。ただ、藤沢西高校はそれだけ、積極的に学ぼうとする生徒が欲しいということ。高校のカラーが如実に表れていると見て取れる。

結論
成績が同じ4や5でもそのナカミに注視を。「主体的に学習に取り組む態度」はAを目指すべし。そのためには日々の取り組みが超重要。
提出物関連(ワークやレポート)の精度を上げられるような努力を。
「ヤッツケ仕事のようになっていないか?」
「解答の丸写しになっていないか?」
授業中の取り組みに積極性を。
「ただ板書を写すだけになっていないか?」
「持参物を忘れていないか?」
そのうえで、早期に過去問に着手し、実力に磨きをかけよ。

中にはもちろん面倒くさいこともあろう、やりたくないこともあろう。
そんなことは大人も同じ。重々承知だ。でもな、面倒なことでも、やりたくないことでも、こういうことをキッチリとできる人間というのは、高校、大学、そして社会に出てからも強い。道を切り拓いていける人間になれる。
ガンバロウ!中3生!!!

公立高校の新制度入試について考えてみた

昨日、2024年度公立高校入試における選抜選考基準が県より発表された。程なく発表されるであろうと見越して、事前に入試制度のおさらいブログを一昨日に書いたのだが、その翌日にまさか発表されるとは…(汗)。

【CLEAR講師ブログ】
変わる神奈川県公立高校入試
【県教育委発表資料】
選考基準(全校一覧)

まず驚いたのは、面接を実施する高校が極めて少なかったこと。そして、内申2:入試8のような学力に振り切った比率にしてくる高校がなかったこと。

では、具体的に見ていこう。

弊塾の中3に関わると思われる高校をピックアップして説明していく。
例えば、小田原と平塚江南。いずれも、旧学区トップ校で進学重点校エントリー校だ。選考基準におけるこれら両校の違いは次のとおり。
【小  田  原】内申4:入試6:特色検査1=計1100点満点
【平塚江南】内申3:入試7:特色検査1=計1100点満点

小田原よりも平塚江南の方が学力重視。これがどう合否に影響してくるのか?具体例を示してみたい。

たとえば、小田原高校を受験する内申108のAさん内申120のBさんがいたとする。学力検査前の両者の持ち点は以下のとおり(小数点以下切捨)。
A:108×100÷135×4=320
B:120×100÷135×4=355
次に、両者の学力検査の得点を、Aさん420点Bさん400点と仮定すると、学力検査における両者の持ち点は以下のとおり(小数点以下切捨)。
A:420×100÷500×6=504
B:400×100÷500×6=480
ここまでの両者の総得点がこちら。
A:320+504=824 / 1000点満点
B:355+480=835 / 1000点満点
この時点ではBさんが上位。Aさんが逆転するには特色検査でBさんより12点以上上回る必要がある。とはいえ12点であれば、2~3問正答数を上回れば逆転できてしまう。

一方、そのAさんとBさんが小田原高校ではなく平塚江南高校を受験したとすると、学力検査前の両者の持ち点は以下のとおり(小数点以下切捨)。
A:108×100÷135×3=240
B:120×100÷135×3=266
次に、両者の学力検査の得点を、Aさん420点Bさん400点と仮定すると、学力検査における両者の持ち点は以下のとおり(小数点以下切捨)。
A:420×100÷500×7=588
B:400×100÷500×7=560
ここまでの両者の総得点がこちら。
A:240+588=828 / 1000点満点
B:266+560=826 / 1000点満点
今度はこの時点ではAさんが上位。まさに逆転現象が起こったということ。あとは特色検査の出来次第。

ここまでで分かるとおり、内申10点程度の差(とはいえ内申10点の差って“成績”で追いつくにはかなり大変)は、学力重視の高校なら学力検査次第で十分に逆転可能。20点ほど上回ればいい(1問4点や5点がほとんどのため正答数なら5~6問)。特に特色検査のある高校ならさらに逆転は起こりやすいだろう。

参考までに、各比率における内申1点に相当する入試の点数はこんな感じ。
①内申3:入試7⇒約1.6点
②内申4:入試6⇒約2.5点
③内申5:入試5⇒約3.7点
④内申6:入試4⇒約5.6点
⑤内申7:入試3⇒約8.6点

結論
①のような内申3:入試7の比率であれば、内申点の差なんてないと思った方がいい。学力重視の高校を志望するのであれば、学校の成績はもちろんのこと、とにもかくにも実力錬成を。そのための第一歩は、早期に過去問に着手すること。特に国語と英語は、おそらく特色検査を攻略するためにも必要なため、夏休み中には一通り解ききっておいた方が良い。あとは、模試の経験を可能な限り多く積んでいくこと。実戦経験に勝るものはないからだ。

「内申はあるけど、実力が…」と不安を抱えているのなら、それを解消するには勉強するしかない。誰よりも努力するんだ。たった残り数ヶ月を頑張れないでどうする?

ガンバレ!中3受験生!!!

変わる神奈川県公立高校入試

そろそろ2024年度の神奈川県公立高校入試における各高校の選考基準等が明らかになるため、今一度、今年度より変わる公立高校入試についておさらいしておきたい。

全員一律の面接が廃止

全員一律の面接が廃止されるただし、特色検査として各校の判断で実施できるようになる。すなわち、面接を実施する学校としない学校がでてくる。
そのため、選抜方法が以下のように変わる。

調査書(内申)と学力検査の取り扱い方
A:調査書の評定
2年9科計+(3年9科計×2)=135点満点⇒A

※3教科の範囲で2倍まで重点化可(その場合の満点は変わる)。
B:学力検査の得点
100点×5科=500点満点⇒B

※2教科の範囲で2倍まで重点化可(その場合の満点は変わる)。
C「主体的に学習に取り組む態度」
調査書の第3学年の観点別評価のうち「主体的に学習に取り組む態度」を、「
評価A=3点 / 評価B=2点 / 評価C=1点」として点数化。
3点×9科=27点満点⇒C
※3教科の範囲で2倍まで重点化可(その場合、満点は変わる)

第1次選考は上記S1の点数に基づいて選考する。これまでのS1の満点は面接点を含めて1000点だったため、調査書と学力検査の比率(上記のfとg)は最大6までだった、けれども、新しい入試制度では「8」まで設定することが可能となる。つまり、以下のいずれかの比率となる。

・調査書2:学力検査8(学力超重視型)
・調査書3:学力検査7(学力重視型)
・調査書4:学力検査6(学力やや重視型)
・調査書5:学力検査5(バランス型)
・調査書6:学力検査4(内申やや重視型)
・調査書7:学力検査3(内申重視型)
・調査書8:学力検査2(内申超重視型)

上位校であれば学力重視型の傾向にあり、下位校であれば調査書重視型の傾向にあるのはこれまでの選考基準でも明らかなところ。受験生はこの数値をしっかりと認識しておく必要がある。

「主体的に学習に取り組む態度」の活用

第2次選考では、調査書に記載されている第3学年の観点別評価のうち「主体的に学習に取り組む態度」が活用されることになる。

第2次選考は上記S2の点数に基づいて選考する。これまでの選抜方法では第2次選考は学力検査と面接の結果(特色検査を実施した場合はそれを加えた結果)によって選考を行ってきた。そこでは調査書は使用されなかったが、新しい入試制度では第2次選考においても調査書に記載されている観点別評価の「主体的に学習に取り組む態度」が活用される。つまり、調査書の重要性が増すことになる。

・調査書2:学力検査8(学力超重視型)
・調査書3:学力検査7(学力重視型)
・調査書4:学力検査6(学力やや重視型)
・調査書5:学力検査5(バランス型)
・調査書6:学力検査4(主体性やや重視型)
・調査書7:学力検査3(主体性重視型)
・調査書8:学力検査2(主体性超重視型)

「主体的に学習に取り組む態度」が点数化され選考に使用されるのは、業界内では本当に物議を醸している。これは客観的かつ統一的な評価が難しいため、評価する側(学校の先生)の主観が多分に含まれることは否定できず、極めて不透明な選抜になりかねないからだ。少し言い方は悪いけれど、「先生に気に入られている子」だけが有利になってしまうようなことがあってはならない。

いずれにせよ程なく各高校の選考基準も明らかになる。
注視しておかなければ…!!

==============
★高校進学説明会のお知らせ★
上記のような入試制度の変更を受けて、弊塾では中3通塾生保護者様を対象に高校進学説明会を開催する予定です。準備が整い次第、ご案内を開始致します。

国公立大学を目指すための“青写真”

今回は国公立大学を目指す高校生向けの記事。
まずはこちらをご覧あれ(旺文社パスナビより)

横浜国立大学(理工学部)

東京都立大学(法学部)

横浜市立大学(データサイエンス学部)

上記のこれらは、近隣国公立大の受験科目一覧。言わずもがな国公立大は共通テスト+2次試験のため、私立大に比べて受験科目が多く、5教科6or7科目型の受験がほとんど。とはいえ、都立大(法)のように3教科3科目型の受験も中にはある。

ではこのような受験方式をとる国公立大を目指す上で、「いつまでに」「何を」する必要があるかの“青写真”を示していこう。

①高3進級時点(~4月)
英数国の基礎力の充実
ほとんどの国公立大で必要なこれらの教科は、力がつくまでにどうしても時間を要する。できれば高3進級時点で基礎力が身に付いているのが望ましい。ここでいう“基礎力”というのは、学校の定期テストで最低でも平均点以上は手堅く取れるぐらい(高校のレベルにもよる)。

②高3春から夏にかけて(4~7月)
2次試験でも使う教科
共通テストの過去問に挑戦。現時点の得点力を把握し、早期に目標点に到達できるよう努力あるのみ。理想は共通テスト過去問の反復。そのレベルに到達できていないようであれば、市販の問題集や学校で使っている問題集の取り組みを。
2次試験では使わない教科
共通テストでしか使わない教科のため、まずは教科書の精読等を繰り返し、インプットに努める勉強を。ちなみに社会であれば5~6回程の教科書の精読を繰り返せば、かなり理解は深まり頭に入ってくるはず。

③高3夏から秋にかけて(7月~10月)
2次試験でも使う教科
理想は2次の対策を始められること。その判断基準としては、共通テストの過去問で目標点に到達できているかどうか。到達できていれば2次の対策へ、到達できていなければとにかく目標点到達に向けて努力あるのみ。
2次試験では使わない教科
本格的に力を入れ始める時期。インプットした知識をアウトプットできるように問題集等で反復練習を。

④高3秋から冬にかけて(10月~1月)
共通テスト過去問演習の徹底。ただ漫然と解くのではなく、苦手な単元・分野に力を入れて、少しでも“穴”を埋める取り組みを。並行して、過去問を活用した2次試験対策も抜かりなく。2次で小論文がある大学は、まずは過去問に取り組み、解答の型を身に付ける。

⑤高3冬以降(1月~)
2次試験対策。過去問を軸にひたすら勉強あるのみ。


英単語や古文単語は、特定の時間を設けて取り組むというよりは、とにかく隙間時間を使って、常に目を通すといった取り組みが望ましい。特に英語は文系理系問わず必要になってくる科目。単語、文法、読解、リスニング、やるべきことはワンサカあるけれど、とにかく最優先は単語。なお、高1で一通り英文法の学習は終えておいた方がいい。また、社会の単発知識も英単語や古文単語と同じで、一問一答の問題集を1冊は購入し、隙間時間に常に目を通す。

大事なのは、まず優先順位をしっかりとつけること。2次でも必要な教科と2次では必要ない教科とに分け、前者を優先的に。

ガンバロウ!高3受験生!!!

面接廃止によって神奈川公立高校の入試はどうなる?

現中3+以下の学年及び保護者様向けの記事です。久々の長文ですが、お付き合いを(汗)。

◆2023年度(令和5年度)までの入試制度

通塾生(新中2・新中3)の子は神奈川県公立高校の入試制度はある程度知っていることと思う。では、新年度を迎えるに当たり、新中1の子やその保護者様にも知っておいてもらえるよう、ここで改めて神奈川県公立高校の入試制度を振り返ってみたい。

現行の入試制度は、2013年度(平成25年度)から始まった。2004年度(平成16年度)~2012年度(平成24年度)までの入試においては、前期選抜と後期選抜という2回の受験機会があったが、現在はそれらをひとまとめにした「共通選抜」というものになった。

共通選抜では「内申点+学力検査+面接」の合計点で選抜する第1次選考(定員の9割)と、「学力検査+面接」で選抜する第2次選考(定員の1割)がある。それぞれの比率は2割以上と定められていて、ほとんど全ての高校で面接は2割の設定だ(第2次選考では3割や4割もある)。

以下、共通選抜における各数値の計算方法。

参考:神奈川県公立高等学校入学者選抜について

簡単にまとめると、内申点、学力検査、面接点をそれぞれ100点満点に換算し、3つの項目の合計点が1000点満点になるように各校で比率を配分するというもの。なお、特色検査を実施する場合は、それに100~500点が加算されるから、1100~1500点満点になる。

◆2024年度(令和6年度)からの入試制度

まずはこちらが変更点の概要。

これまでは県教委曰く、「受験生全員に学力検査と面接の機会がある」というものだったが、2024年度の受験生(現中3生)からは一律の面接がなくなる

面接は受験生の特性や長所なども含め、総合的な意欲をはかることを目的として実施されてきたけれど、10分程度の短い時間で一人ひとりを見極めるのは難しいという指摘も多く、一部の学校では面接の得点はほぼ変わらず、面接試験が形骸化しまっている学校が少なくなかった。小田原や平塚江南などのようにほぼ全員が同じ点数の学校がある一方、山北や秦野曽屋などのように20点以上の差が開く学校もある。このように学校によって点数格差が出たり出なかったりするのも廃止の一つの理由となっているかもしれない。

◆全体のおよそ2割を占めていた「面接」の得点はどうなるのか?

例えば「内申点」「学力検査」「面接」の比率が「4:4:2」だった西湘高校が、この面接の「2」をどう配分するかということ。

上記のような算出方法でいくと、以下のような選考基準が考えられる。

参考:神奈川県公立高等学校入学者選抜について

上記にあるように、新制度になった場合、内申点と学力検査のみで考えれば、<内申点:学力検査=「5:5」「4:6」「6:4」>のような配分になることが予想される(横浜翠嵐や湘南などは、3:7または2:8になるのでは?)。少なくとも現在の入試制度に比べ、上位校では学力検査が、下位校では内申点が、それぞれ今まで以上に重視されることになりそうだ。

◆実力一本勝負は難しい?第2次選考の合否に内申点が…

これまでの第2次選考は「内申点」を加味せずに「学力検査」と「面接」で合否が決定するという、いわゆる実力一本勝負という選抜方法だった。ゆえに、何らかの事情で内申点が低い、または成績資料が整わない受験生は、第2次選考狙いでチャレンジ受験をしていたのではなかろうか。ところが、来年以降は少し注意が必要だ。なぜなら…

新制度入試では第2次選考にも内申点が加味されるからだ。

中学校で2021年度から全面実施された新しい学習指導要領「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の観点別学習状況のうち、「主体的に学習に取り組む態度」が第2次選考で評価の対象となる。
「主体的に学習に取り組む態度」とは、これまでの「関心・意欲・態度」に当たるもので、これを以下のように点数化していく。

評価A:3点
評価B:2点
評価C:1点

これらを9教科分=計27点満点とし、さらにそれを100点満点に換算し、第2次選考の得点として可算するというわけだ。だからもう一度言う…

実力一本勝負だからといって、内申点(特に「主体的に学習に取り組む態度」)を疎かにすることなど、愚の骨頂に等しい。

ただ、この「主体的に学習に取り組む態度」というのは、ノートやレポートのクオリティ、授業中の積極性など、客観的評価が難しく、また、各学校で統一されていない評価方法であることが問題点として考えられる。それに、授業中の積極性などは、性格によるところも多分にあるだろうし、ただアピール上手な子だけが得するようなことがあってはならない。

◆特色検査という名で面接を実施する高校も?

現時点では詳細は発表されていないが、特色検査という名で面接を実施する高校もあるだろう。特に専門学科や下位校では、学力もさることながら、学習意欲や適性等をじっくりと見極めることが望ましいだろう。

◆今回の新制度に思うこと

やはりこの「主体的に学習に取り組む態度」が重視されるというのは、どうしても一抹の不安が残る。各学校で評価方法を統一し、客観的基準に基づく選抜が機能してくれることを心の底から願う。学力があるのに先生にアピールするのが苦手ゆえに成績がつかなかったり、また逆に、学力がないのに先生にアピールするのが得意ゆえに成績がついたり…なんてことがないように前者は高校の選択肢が少なくなってしまうし、後者は進学後に学習レベルについていけなくなる…。両者にとって、受験や進学後にプラスにはたらいていかないだろう。

内申点も学校によりかなりの格差がある。学年のおよそ半数に「5」がついてしまう学校もあれば、2割しか「5」がつかない学校もあったり。また、同じ「5」でも、かなりの学力差があるのも事実で、これが「3」や「4」ならなおのこと。だから、実力一本勝負というのは、公平性があっていいんじゃないかなというのが個人的な考えではある。

いずれにせよ、何かを変えれば、また新たな問題点等も出てくるのが必定。“完璧”なものなどない。とにかくこの制度になる以上、できる限りの取り組みをしていくしかない。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

今年の学力検査について

公立高校入試がほぼほぼ終わったため、今年の学力検査、とりわけメイン指導教科である英語について少し考察してみようと思う。

結論から述べると、昨年より易化。これまで合格者平均点が5教科中唯一60点を超えたことがない、安定の難しさを誇ってきた英語だが、現行の入試制度で最も易しかったのではないかと思う。では詳しく見ていこう。

問2:語彙
2022年度
2023年度

対話文の流れから適する語句を選ぶ形式から、今年は短文の中で判断する問題へと変わった。

問6:長文読解
2022年度
2023年度
上記はリード文のみの抜粋だが、明らかに英文量が減った。

問7:資料読解
2022年度
2023年度
例年はQuestionに対して適切な選択肢を選ぶ形式だったが、今年は空欄補充形式に変わった。この形式、明らかに大学入学共通テストに寄せてきてる感が否めない…(汗)。でも、形式が変わっても難易度は大きく変わってはいない。やや面倒さが増したと感じた受験生もいただろうけど。

例年と少し傾向が変わったのは上記のとおり。あ、あとはリスニングの単語記述がなくなったか。やはり英文量の減少が易化の要因といえる。今年は時間が足りないという受験生は少なかったのではなかろうか。

追記:社会はやや難化…?

2022年度:解答用紙
2023年度:解答用紙
個人的には社会は昨年並みと思う…が、解答用紙を見てもらっても分かるとおり、選択肢が増えたことと設問数が増えたことから、客観的判断としては、やや難化といえそう。とは言え、2019年度や2020年度と比べたらはるかに易しいが。

全てが判明したうえで機会があればまた記そうと思うけど、とりあえず、学力検査についての考察でございました。

中3受験生の皆、お疲れ様でした。