受験生の夏休み。中3編に続き今回は高3編。「夏を制す者は受験を制す」とよく言われるが、大学受験はまさにそのとおりだと思う。ではいってみよう。
1.効果的に学習を進めるために
⑴ まずは優先順位!
文系なら英語、理系なら数学、というように、勉強の優先順位を明確にすること。それぞれの習熟度により多少の違いはあるけれど、ザックリと各科目の優先順位をつけるなら以下のとおり。
【国公立文系】英>国or数>社>理(数を使う場合)
【国公立理系】数>英>理>国>社
【私 立 文 系】英>国>社
【私 立 理 系】数>英>理
⑵ 学習計画を立てよ!
夏休みは「基礎の習得」「苦手克服」「過去問」「模試」と、ToDoが山積。一つひとつ確実に取り組めるよう、必ず学習計画を立てよう(以下の画像をクリックすると学習計画の例が閲覧示できます)。
◆学習計画を立てるうえで◆
・「目標」の設定
(ムチャな計画はNG。あくまで実行可能レベル)
・「何を × いつまでに × どれくらい」やるかを明確に
(行き当たりばったりでは成果が見込めない。)
・「ゆとり」を持たせた計画に
(ギッシリ詰め込みすぎは計画倒れになりがち)
まずは全体の目標、次に科目ごとの目標を立てる。そして、それぞれの目標を達成するためには、「何を×いつまでに×どれくらい」勉強する必要があるのかを考える。計画は目標=ゴールから逆算して立てるべきもの。また、勉強の予定を入れない日や時間、いわゆる「ゆとり」を少し持たせることも大切。計画通りに進まなかった時の調整や、急な予定などにも対応しできるようにするためだ。
⑶ 長時間勉強できる場所の確保
快適に長時間勉強できる場所を確保しておくことも大切。特に「自宅では集中できない」という高校生は注意が必要だ。夏休みはどの施設もたいがい混むため、勉強場所を確保するのに時間がかかってしまうこともありえる。学校や塾の自習室を有効に活用できるならとことん活用すべき。
2.ついやりがち~NGな勉強~
⑴ 周りの勉強ペースを気にしすぎる
学校や塾の自習室等で勉強していると、他の受験生が勉強する姿も目に入る。すると、「もう赤本を解いてる!?」「自分よりずっと長時間勉強してる…」など、焦ることもある。でも、あくまで「自分は自分、人は人」。志望大学や得手不得手、夏までの積み重ねなど、状況はそれぞれ異なるのだから、勉強のペースや内容も違って当然。周りと比べることは大事だが、比べて過ぎて無駄に焦るようなことがあってはならない。
⑵ 過去問ばかり解こうとする
共通テストや志望大学の過去問にチャレンジすることは重要だが、そればかりになってもよくない。入試レベルの問題演習は、秋から冬にかけて取り組んでいければいい。夏に過去問を解くのは、あくまで「入試のレベルを知る」ことが目的、夏は基礎固めと苦手克服を徹底すべき。
⑶ 勉強に偏りがある
勉強には「バランス」が大切。次のような偏りがないように心がけたい。
・インプットの勉強ばかりでアウトプットの勉強をしない
・計算問題ばかりを解く
・文法問題ばかりを解く
・特定の科目や分野ばかりを勉強する…etc.
分野や問題形式に偏りがある勉強をしていると、必ず“穴”ができてしまい、得点が伸び悩む原因になる。総合点が合否のカギ。常に全体を見てバランスの取れた勉強を心がけよう。
⑴ 英語
①単語
長時間単語だけ勉強するというのは非効率的。隙間時間などを使って単語帳をフルに活用しよう。単語:意味を1:1で覚えるだけではなく、派生語や多義語、熟語も意識しながら、英文の中で身に付けていこう。
②文法
準動詞(不定詞・動名詞・分詞)、関係詞、仮定法、比較、倒置、強調構文など、英文の構造を把握するうえで重要な文法や語法に力を入れよう。
③読解
1日1題は必ず解くことを心がけたい。時間はあまり気にする必要はないので、一文一文の構造を正確につかむことを意識しながら精読を繰り返そう。
④リスニング
弊塾でも高3には毎週リスニングを課しているため、夏に特別な取り組みは必要ないけれど、心配ならば共通テスト対策用の問題集で繰り返しトレーニングするのを推奨する。まずはテスト形式で取り組み。その後はスクリプトを見ながら聞き慣れていこう。ただし、それには一定の単語力を備えていることが前提。
⑵ 数学【文系・理系】
①文系数学
共通テスト必出の分野を中心に、典型問題を確実に解けるレベルを目標に何度も何度もやり込むこと。解説が詳しい問題集を使って自力で解答を導くトレーニングを重ねよう。
②理系数学
数ⅠA・ⅡBは共通テストレベルの習得を目標に。数Ⅲも国公立2次や私立一般入試では配点比重の大きな分野のため対策を始めたい。数学Ⅲの概念はイメージしにくいものが多く、成果が表れにくいことで悩む高校生も少なくない。しかし同じ単元を何度も繰り返し演習することで、少しずつ理解できるようになるはず。頑張って欲しい。
⑶ 国語(現代文・古文・漢文)
①現代文
共通テストレベルの文章をできれば1日1題をノルマに(過去問でもOK)。指示語や接続語、小説ならば心情把握に留意しながら、論理的に文章を辿るトレーニングを重ねよう。共通テストで現代文に割ける時間は1題25分程度だが、夏休み中は時間が許す限りじっくり読み込んでOK。「何となく」の読解からの脱却を。
②古文
助動詞・敬語の識別や主語の把握が高得点の要。基本レベルの問題集を1冊完成させるつもりで取り組もう(“完成”というのはただ終わらせるわけではない)。また、重要単語は英語に比べればはるかに少なく300語程度のため、夏休み中には一通り覚えきってしまおう。
③漢文
短期集中で十分に得点源になりえるのが漢文。返り点、置き字など、基本レベルの問題集(または弊塾のeトレ)に取り組みながら、句法の習得に努めよう。ただし、現代文・古文に時間が割かれてしまいそうなら、ひとまず置いておいて秋以降に。
⑷ 理科(物理・化学・生物)
①物理
物理の中で最優先に取り組んでほしいのが力学。入試で頻出分野であるだけでなく、力学分野のみならず他の分野の問題を解くときにも使う分野だからだ。特に電磁気の電磁誘導などの問題などは力学を理解していないと解くことができない。そのため、この夏休み中に力学は完璧にするくらいの意欲で臨もう。その後で熱と波動、電磁気の勉強を進めていこう。
②化学
化学を勉強する際のポイントは、知識の習得と問題演習をバランスよくおこなうこと。周期表や炎色反応、モル計算、酸化還元反応など、知識の暗記だけで得点できる単元も多いので、取りこぼさないようにしたい。夏休みの段階で典型問題が解けるようになっていることが望ましい。それができていれば秋以降に実戦問題に十分に取りかかれる。
③生物
生物は化学や物理と比べると、暗記が得点につながりやすい科目。夏休み中の目標としては、出題範囲の基礎を一通り終わらせてしまうこと。教科書レベルの知識は身につけ、問題演習で基礎固めをしよう。ただし記述問題が課される場合、用語の暗記だけでは太刀打ちできないため、各事柄について、数十字で内容をまとめる練習をしておくことが必要(これは秋以降でOK)。
⑸社会
夏休み中は重要用語(教科書太字レベル)の暗記に徹し、全体像(歴史なら流れ、地理なら地域毎の特色等)の把握に努めよう。ノートまとめをするのは構わないが、あまり時間をかけすぎないように。インプットとアウトプットとをバランス良く。
①地理
資料集や地図帳を活用し、地名以外にも重要なことをどんどん白地図に書き込みながら知識の整理に努めつつ、問題集を使ったアウトプットも忘れずに。
②歴史(日本史・世界史)
通史の学習をまずは一通り終わらせよう。現段階では細かい知識は気にせず、大まかな時代の流れをつかむことに努めよう。特定の時代や地域だけ詳しかったり、重箱の隅をつつくような知識があったりと、くれぐれも歴史マニアにはならぬように。
③公民(現代社会・政治経済・倫理)
共通テストレベルの公民なら、教科書に載っている基礎知識で問題が解ける。ただし、単なる暗記ではなく理解することが大切。夏休み中は教科書や基本レベルの参考書にくり返し目を通し、基礎固めをしておこう。
頑張れ!高3生!!!