大問数は例年通り問9までだが、読解問題の設問数と条件英作文が減ったこともあり、時間的には例年よりゆとりを持って取り組めたのではなかろうか。では、各問ごとに講評していくこととする。
問1 リスニング
選択問題7問+記述問題1問という例年通りの構成。例年並みといったところ。
問2 文脈に基づく語句補充(語彙)
問1同様に例年通りの構成。問われている単語も基礎的なものであるため、中堅校以上の受験生はここでの失点は避けたい。
問3 適語選択(文法)
例年通りの4問構成。今年問われたのは、<最上級/分詞の形容詞的用法/動名詞/過去形>についての知識。いずれも素直に取り組めるものばかり。問2同様に確実に得点しておきたいところ。
問4 語順整序(文法+文脈把握)
この問4から例年より若干傾向が変わってくる。まず、これまでは与えられた選択肢番号のいくつかを選び、その全てを並びかえさせる問題であったものが、3番目・5番目にくる語句のみを答えさせる形式に変わった。おそらくマークシート方式導入による影響と思われる。また、例年では、(ア)~(エ)がそれぞれ独立した対話文であったものが、(ア)~(エ)全てが一連の対話文として作られており、その文脈に基づき英文を構成させるものに変わった。しかし、若干の傾向の違いはあるも、問われているものは、<分詞の形容詞的用法/接続詞that・because/関係代名詞/不定詞(原因)>と、それぞれ基礎的なものが多い。ただし接続詞thatの省略が見抜けなかった受験生にとって、(イ)は苦戦を強いられたのではなかろうか。この(イ)に限っては難度がやや高かったという点と、全ての対話文の流れに基づくという形式に変わったという点において、問4は若干の難化といえそうだ。
問5 条件英作文①(適文補充)
例年あった、英語で助言等をする問題が1問減った。また、文脈の流れから指定語句を使って表現する問題も極めて基礎的。指定語句から現在完了形で表現するのは明らかであり、基礎力が備わっていれば何の問題もなく対応できる。確実に得点しておきたい。例年よりも易化といえる。
問6 条件英作文②(絵+文脈)
問5同様に問6でも1問減。しかし、問われているのは、What~から始まる単純な疑問詞付き疑問文では得点することは難しいというもの。対話の流れ(No, I don’tという応答)から、間接疑問文で表現する必要がある。絵だけを見て英文をしっかりと読み込まなかった受験生はひっかかってしまう問題といえそうだ。
問7 長文読解①(スピーチ・発表形式)
例年通りの3問構成。中身も表やグラフの読み取りを絡めた適文補充や内容一致等、例年通りの問われ方。相変わらず内容一致は二つ選ぶというものだけに、受験生を悩ませたと思われる。
問8 短文読解(表やグラフを絡めた英問英答)
例年通りの3問構成。これといった大きな変化はなし。各問独立型の短文読解のため、問ごとにていねいに単語の意味を拾うことができれば正答しやすい。英語が苦手な受験生も、この短文読解では何とか得点をしておきたい。
問9 長文読解②(対話文形式)
例年より1問減。問われ方としては適文補充・内容一致と例年と同様。しかしここでも内容一致は二つ選ぶというものだけに、時間配分を誤った受験生にとっては正答率が低くなるかもしれない。
【総評】
昨年の合格者平均点において英語が最も低かったということを受けてのことか、冒頭でも述べたとおり、英作文や読解問題の数が減ったこともあり、例年よりやや易化といえそうである。また、採点の効率化を図ったのか、条件英作文も前後の文脈から判断すると表現の自由度は低く、特定の文法事項を押さえた表現が求められているため、これまでのように表現の仕方で悩むこともあまりなかったのではなかろうか。合格者平均点は昨年のように50点を割ることはおそらくないであろう。基礎力がある受験生にとっては取り組みやすかった問題かもしれないが、グラフや表を活用しながら、英文の内容を速く正確に読み解く力は今後ますます必要となってきそうだ。単語た文法に偏ることなく、折に触れては英文を読む習慣を身に付けていきたい。