役割

親御様との定期的な面談で必ずと言っていいほど話題にあがるのが、子どもとの接し方について。優れた教育者でもなければカウンセリングの専門家でもない、ただの一塾講師ではあるが、それなりに長くこの業界に身を置き、十人十色の子どもたちと接してきたその経験から、僭越ながらもアドバイスをさせていただくこともある。

短所を指摘しその改善を促す指導。
長所を認めてその伸長を促す指導。

これらは“両輪”であるということ。
あくまで持論ということを前提に。両輪がなければ真っ直ぐ進めない車と同じで、子どもにもこれらが伴わなければ健全なる成長は難しい。今は厳しさが敬遠され、「褒めて伸ばす」が主流の時代かもしれない。とはいえ、やはりそれに偏ってもいけないだろう。大事なのはバランスのように思う。だから、親御様との面談ではよくこんな話をする。

「塾ではお子さんの至らぬ点、反省すべき点を指摘し、その改善に努めます。時には厳しく指導することもあります。ただ、家庭では勉強のことに関してはあまり口うるさく干渉せず、お子さんの良いところに目を向けてやってください。」

・塾=短所を改善
・家=長所を伸長

子どもには逃げ道が必要だ(大人にも必要だろうけど汗)。その子どもに関わる周囲の大人が、それぞれの役割を自覚し実践することができれば、その子どもは健全に成長していくはずだ。

「教師は五者たれ」という有名な言葉がある。前職時代のかつての上司にもよく言われたものだ。
「五者」とは、「学者」「医者」「役者」「易者」「芸者」の五つを指し、
「学者のように学べ」
「医者のように生徒を診よ」
「役者のように生徒を魅了せよ」
「易者のように生徒の未来を見よ」
「芸者のように生徒に寄り添え」
というように、教育者に求められる役割を五つの「者」に例えた言葉。

俺は教育者でもなんでもなく、一塾講師。とはいえ、上記の五者は常に意識はしている…が、未だ何者にもほど遠い未熟者だ。ただ、このような五者を一人で担うことはできずとも、複数いれば担えるはず。家庭と塾と、親御様と講師とで、それぞれの役割を担っていければ…。

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