ある教え子のこと①~その8~

久しぶりの更新!教え子シリーズ①その8です!

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ある教え子のこと①その1
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ある教え子のこと①その7

冬期講習を終えても、中3受験生に息つく暇などない。受験突破へ向けてのラストスパートをかけるため、直前講習が開講されるのだ。
その直前講習では複数の校舎がの中3受験生が集結し、志望校別クラス編制のもと行われる。Nはもちろん独自入試クラスに編制され、他の塾生とは違った校舎での受講となった。
「冬期講習で結果を残せなかったお前らにとっては、この直前講習が本当のラストチャンスだと思え。ここで結果が出せなかったら、本当に志望校変更を考えざるを得ないぞ。それでもどうしても挑戦したいと言うのなら、覚悟してもらわなければならない。そしてその覚悟できないのなら志望校を変更するしかない。いいな。」
Nも含め、全ての塾生に俺はこう言い放った。このNの代は、冬期講習で結果を残せなかった者がほとんど。合格可能性が極めて低い中で後期選抜に挑んでいった者が数多くいた。そんな受験生の保護者様とは十分にお話させてもらいご理解を頂いたつもりだが、今にして思えば、よく受験を決断できたものだとしみじみ思ってしまう。まさに受験生本人や保護者様が何よりそうだが、俺自身も勇気をもって踏み出せた一歩。
直前講習では別の校舎で授業を受け持っていたため、独自入試クラスを担当することはできなかったが、その都度Nには結果を確認していった。

「今日はどうだった?」
「ダメでした・・・。数学が・・・。」
「今回は何点取れた?」
「いや、だめっす・・・。英語で失敗しました・・・。」

共通問題ではかなりの得点力がついてきたNだが、やはり独自問題においてはまだまだ・・・。基礎の大切さに気づき、単語やら漢字やらの練習、そして共通問題を通じての基礎力強化に時間を費やしすぎてしまったのかもしれない。独自問題への対応力が追いついていなかった。確かに独自問題の過去問は解いていたが、他の受験生に比べれば明らかに練習不足。

結果を残せぬまま、Nは直前講習の最終回を迎えることとなった。

(つづく)

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