「オール5でも落ちるしオール1でも受かる」のが今の入試です。

タイトルどおり、現行の高校入試制度について。
学校や塾関係者なら“釈迦に説法”なのだけれど、今ひとつワカラナイ子どもや親御様に向けてできるだけシンプルに説明していきたい。

意外に知らない人が多いのだけれど、現行の公立高校入試は「2段階選抜」だ。
・1次選考=内申+学力検査+面接+(特色検査)
・2次選考=学力検査+面接+(特色検査)
(県教委HPより抜粋)
※上記比率は各高校により異なり、上位校ほど学力検査重視
※特色検査は進学重点校および進学重点校エントリー校などが実施
※2024年度入試(現中2)からは一律の面接は廃止

では、タイトルのポイント、「オール5でも落ちるしオール1でも受かる」ということについて述べていこう。
まず、各高校の定員の90%が1次選考で選抜される。例えば定員300名の高校であれば270名までということ。で、残りの10%すなわち30名が2次選考で選抜される。ここで注視すべきは、2次選考に内申は含まれないということなのだ。すると、どういうことが起こるか?

1次選考の比率が、内申:学力検査:面接=3:5:2、と仮定した場合
例えば、Aさんは、内申135/135(オール5)、学力検査350/500、面接100/100
⇒合計数値(S1値)は850/1000
一方、Bさんは、内申108/135(オール4)、学力検査400/500、面接100/100
⇒合計数値は(S1値)は840/1000
1次選考の合格ボーダーS1値が、860/1000だった場合、Aさん、Bさんともに不合格となる。そして両者とも2次選考に回るのだが、そうすると…
2次選考の比率が、学力検査:面接=8:2と仮定した場合
Aさんは、学力検査350/500、面接100/100
⇒合計数値(S2値)は760/1000
一方、Bさんは、学力検査400/500、面接100/100
⇒合計数値は(S2値)は840/1000
2次選考の合格ボーダーS2値が、800/1000だった場合、Aさんは不合格、Bさんは合格となる。いわゆる逆転現象だ。

これが起こりやすいのは、学力検査重視の上位校だ。2次選考に回されずとも、学力検査の得点次第でひっくり返せるし、ひっくり返される。これが2次選考ともなればなおのこと。「内申を含まない=ほぼ学力検査のみ=実力一本勝負」なのだから、「オール5でも落ちるしオール1でも受かる」といえる。実際かつての教え子で経験した逆転合格の例としては、
内申92→茅ヶ崎北陵、
内申107→平塚江南、
内申94→秦野、など。
記憶が曖昧なため若干数字の前後はあるかもだけど、これくらいの数字だったことは間違いない。

ただし、このブログを読んで「じゃあ実力さえつければ受かるんだから、内申はそこそこでいいや」と思うなかれ。内申が高いことに越したことはないし、2次選考枠は10%しかない。そもそも内申が低いと併願私立の選択肢も極端に少なくなる

「成績(内申)さえ良ければいい」はもはや通用しない。また、成績(内申)が悪くても実力を磨けば道は拓ける。
健全な競争なくして成長はない。
ガンバレ、中学生。

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