評定「3」は真ん中?

中学校では学校の成績(仮)が出揃った。CLEARが対象とするのは2期制の学校なのだが、これまでは夏休み前に9教科全ての成績が出揃うというような、少し変則的な、3期制に限りなく近い成績の出し方だった。ところが、今年はちょっと違う。夏休み前に5教科のみの「仮成績」が出ることとなり、2期制の成績の出し方にグッと近づいた。また、中1生はそれこそ初めて5段階という評定を経験するため、今回は少しばかり今の中学校の成績について述べていきたいと思う。

◆相対評価と絶対評価。何が違うの?

相対評価
評定5は7%、評定4は24%、評定3は38%、評定2は24%、評定1は7%、と、全体の中でどの位置にいるかによって評定が決まるというのがこの相対評価。親御様世代が中学生だった頃はこれだった。簡単に言うと、上から順番に並べてここまでが5、ここからここまでが4で…といった成績の付け方。集団の中で他者と比較されて付けられる評価ということ。

絶対評価
現在の成績の付け方がこれ。教育目標に対する到達度に基づいてなされる評価だ。簡単に言うと、個人の成績や生活態度等を総合的に評価するというもので、提出物、授業態度、学習への意欲や関心度などを点数化し、テストの点数と合算して評価がなされる。また、評定5の人数は○○%などという基準はないため、評価する先生によってかなりばらつきがあるというのが実際のところ。だから、“理屈の上では”全員5や全員4もあり得る。

ここで留意すべきは、現行の絶対評価において付けられる成績は、テストの結果だけでは決まらず、さらに、それぞれの評定の人数も明確に決まっていない、ということともすれば、どんなことが起こるのか。

◆評定3は“普通”?

相対評価では「評定3」は全体の真ん中の成績だった。真ん中を平均あるいは普通とみなすのであれば「評定3」は普通の成績だったといえる。それでは絶対評価での3はどうだろうか。

学校成績がオール3だと9教科で合計27になる。この成績で神奈川県の公立高校を受験するとなると、近隣校では山北高校や小田原東高校を受験する子が比較的多い。これらの高校は弊塾が採用している神奈川全県模試で偏差値40ぐらいの学校だ。例えば100人中の80番目ぐらいの順位の子が進学する学校。言わずもがな偏差値の中心は50。故にオール3というのは平均よりかなり下ということになる

一方、偏差値50以上の公立高校に合格するためにはオール4ぐらいが基準になる。要するに学校成績のオール4というのが、相対評価でいうところのちょうど全体の真ん中ぐらいの成績といえる。そう、絶対評価におけるオール4は相対評価におけるオール3とほぼ同じ。だから、親御様世代が受験生だった頃のイメージで神奈川公立高校の内申点や偏差値を見ると判断を誤りかねない。

なぜこんなことが起こるのか。それは絶対評価だと、学校の先生は「評定4」や「評定5」をたくさんつけられる(つけたがる?)からだ。ちなみに塾では英語をメインに担当させてもらっているのだが、全通塾生の9割以上が「評定4」以上で、そのおよそ半数は評定5。嬉しいやら不安やら正直複雑な心境というのが本音のところ。もちろん、厳しい先生もいて、評定5はほとんどつけないという場合もある。基準はないようなものなのでこんなことになってしまう。

◆評定4でも楽観できない

学校成績は「オール4」で全体の真ん中ぐらい。ただし、テスト結果があまり振るわずとも提出物や授業態度等で評価されて付いている「評定4」ならば、その教科の学力は厳しい状況にあるかもしれないと言っていい。そして、「評定3」の成績がついた教科については、かなり真剣に取り組まないと大変なことになってしまうぐらいの危機感を持つべき。

◆補足:でも入試は相対評価

入学定員が定められている入試はいわゆる相対評価といえる。神奈川公立入試は、内申点+入試点+面接点(+特色検査)の合計点で上から順に合格が決まる。提出物や授業態度等で稼いだ評定ではなく、確かな学力を伴った評定でなければ、厳しい入試を戦い抜いていくのはどうしても難しい。力のある受験生に容易に逆転されてしまう。

真ん中より上の高校を目指すなら、まずは最低でも成績はオール4を。なおかつ、その4は提出物や授業態度等で稼ごうとするのではなく、定期テストでの高得点で稼ぐという意識を。
※提出物や授業態度を疎かにしていいという意味では決してありません。誤解のないように。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です