2020年度からの教育改革を考える②

大学入試で求められる英語力=4技能に舵を切ったのはなぜか。

①国内外でのグローバル化に備える
国境を越えた人やモノの交流がますます盛んになる現代において、社会・経済における諸々の活動は世界規模で行われるのが当たり前の時代と言っていい。そんな時代背景を考えれば、「グローバル人材の育成」は、決して海外でバリバリ仕事をする一部のエリート層?だけを対象に考えていればよいわけではなくなったというのが実際のところだろう。今や製造業は工場を海外に展開するのが当たり前で、農業でも高品質の農産物を高価格で輸出することも盛んに行われている。また、国内の主要な観光地は外国人観光客で溢れていて、国内にいるだけでもグローバル化への対応が不可欠な世の中になった。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、さらに多くの外国人が来日することが見込まれ、まさにグローバル教育をグッと押し進める好機といえる。だからこそ、文科省は2020年度を照準に据え、学習指導要領を改訂して小学校高学年から英語を教科化するとともに、大学入試でも共通テストに英語4技能評価を入れることにした。進学後の大学でも、グローバル人材の育成が急務になっていることは言うまでもない。
②これまでの入試は「読む」「聴く」が中心
実は現行の指導要領でも、4技能の育成が重視されている。4技能を自在に使いこなせるようでなければ、実際の場面でコミュニケーションを取ることができないからだ。小学校高学年から「外国語活動」を必修化して「聞く」「話す」を中心に指導を始めているのも、高校で英語の授業を英語で行うことを基本にしているのも、そのため。高校英語の必履修科目の名称が「コミュニケーション英語I」とされたのには、4技能をフル活用して積極的にコミュニケーションが取れるようになってほしいという願いが込められているしかし、現行の大学入試が依然としてマークシート中心で、センター試験でもリスニング問題が出される程度。これでは、実質的に「読む」「聴く」の2技能しか問われていないことになる。これに引きずられて、本来、4技能をバランスよく育成すべき高校英語の授業が、「入試対策」の名の下、2技能中心にならざるを得なくなっているのが現状だ。そんな状態がいつまでも続いては、グローバル人材の育成を掲げる大学も困ってしまう。とはいえ、引き続き50万人以上が受けると想定される共通テストで、新たに「話す」「書く」の評価も独自に実施しようとするには、莫大な時間とコストを要し、結果として試験日程や受検料にも跳ね返ってしまい、とても現実的ではない。そのため、既に4技能評価で豊富なノウハウと実績のある外部試験を活用するに至った。

※以下、大学入学共通テストにおける英語外部試験の導入・他のポイント
2020年度から開始。
②英語は2020年度から2023年度まで現行のマーク式と外部試験を併存。2024年度から外部試験に全面移行
③英語の外部試験の受験は高3の4~12月に2回まで
国語数学記述式を導入。国語は80~120字、数学は数式などの記述。
試験時間は国語が80分から100分、数学は60分から70分に延長
⑥地理・歴史や理科は2024年度から記述式導入を検討。

(続く)

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