社会(特に歴史)が苦手な受験生へ

本日は中3受験生の指導日。決戦の日まで残すところ3週間となった今、弱点補強に努め、さらなる得点力アップを図り、合格可能性をグッと高めていきたい。

これまで取り組んできた実戦問題(他県を含む過去問・模試)の結果から、歴史を苦手としている受験生が圧倒的に多く、その中でも時代整序問題が壊滅的状態だったため、自作の時代整序プリントを導入として、社会に少々時間を多く割いた。

歴史教育が重要視されるようになって久しいが、まぁ、確かにそれは重要だろう。国際化社会を生きていくには、外国語の習得や異文化の理解も大切だが、何よりも自国の歴史や地理をほとんど知らないというのはいかがなものか。自分の国がどういう国であるかをまず知ることこそが国際人への第一歩だと思う。外国の猿真似や追従ばかりではどうしようもない。グローバル社会という言葉の断片だけを分かったつもりになって、大切なことを見失ってはいけない。

話が逸れたが、とにかく、現行の入試制度になってからの社会科の問題は格段に難しくなった。一昔前の神奈川公立入試では40分もあれば十分に解き切ることができるレベルだったが、今や50分では足らないと感じるほど。近年の社会科の入試は,地歴も公民も、「ただ知ってさえいれば得点できる」というようないわゆる知識力を問う問題は年々減少傾向にあり、それよりも大部分が思考力や判断力が求められる問題構成となっている。50~60字程度の記述問題などは、深い思考力と迅速な判断力が求められる問題の最たるものだろう。また、地理・歴史・公民を融合させたような問題など、時間的にも空間的にも広い社会的考察力が求められる問題もある。時代が求める学力は教科・科目の垣根を越えた「総合力」。まさにその傾向を反映しているような問題と言える。したがって、「暗記が得意」だからと言って、社会科が入試で武器になるかと言ったらそうでもなくなってきている。暗記に偏って勉強してきた者は、モノの見事にしっぺ返しを喰らうことになる。そういうタイプの者の勉強法は極めて単調で、得てして「作業」に陥りやすい。したがって、一問一答のような問題なら得意としても、思考力や判断力が試されるような問題になると途端に出来が悪くなる。いわゆる「パターンでしか覚えていない」典型的な例。

では、どうすればいいか。
①マクロ⇒ミクロの学習を!
まずは細かな年代にはとらわれず、いつの時代に、どんな出来事(事件や戦争など)があったかを整理した後、具体的な人物名などを抑えていく。
例)鎌倉時代…承久の乱/執権政治/元寇 など
⇒承久の乱=後鳥羽上皇が政権奪回を企図
⇒執権政治=北条泰時のときに確立
⇒元寇=元軍(フビライ)VS鎌倉幕府(北条時宗) …など。
※年表を使って調べる習慣をつけること。何度も目を通すうちに時代の全体像を把握しやすくなるはず。
②「なぜ?」⇒「~から」を意識した学習を!
単発の知識はクイズと一緒。流れ(=因果関係)を理解して初めて点数につながる知識となる。
例)なぜ江戸幕府は倒れたか?
なぜ?⇒薩摩や長州といった有力な藩が手を結び倒幕へと向かったから
なぜ?⇒欧米諸国に対抗するためには新しい国家体制の構築が急務、そのためには幕府を倒さねばならなかったから
なぜ?⇒薩摩・長州いずれも攘夷を決行するも、近代兵器を備えた欧州諸国に大敗し、攘夷が不可能であることを悟ったから  …など。
※歴史は転換期には戦争がつきもの。特に近現代史は、なぜその戦争が起きたのかを中心に遡って学習すれば、流れ(因果関係)は容易に理解できるはず。

もともと<社会科=暗記教科>という認識は私にはないが、ますますそれを意識していかなければならないと感じる今日この頃。良い意味での「脱暗記」をしなければ、近年の社会科で高得点をねらうのは難しいだろう。

「社会なんて覚えれば点取れるでしょ?」

そういう思いこみ、アドバイスをする時代は、とうに終わっている。

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