2021年度からの中学英語教科書について

中学校では2021年度より新学習指導要領が全面実施されるのは周知のとおり(小学生は今年度から既に実施)。それに伴う大きな関心事はやはり英語だ。今年度より必修化・教科化された小学英語。これだけの大きな改革だけに中学英語がどう変貌していくのか。今分かっている範囲で述べていきたい。

まずは以下のファイルをクリックしてもらいたい。小田原市が採択している教科書会社の、2021年度からの中学英語教科書のざっくりとした内容だ(2021年度から小田原市は別の教科書会社の採択となります)。
2021年度中学英語新教科書(PDFファイル)

注目すべきはまず、“本文”セクションの数だ
中1は30⇒22
中2は35⇒24
中3は29⇒21
本文はいわゆる各課の中心を担うページ。「読む」を中心とする活動なのだが、それらが大きく削られた。つまりは、「読む」以外の「話す」「聴く」「書く」などの活動がより重視されるということ。

次に単語数だ(固有名詞は除く)

中1は524語⇒473語
中2は412語⇒522語
中3は305語⇒487語
中2や中3はそれぞれ100語以上の増加でより一層の語彙力の強化が求められる。一方、中1は「楽になった…?」なんてのは大きな間違い。減少したおよそ50語は、小学校で既に習得済みという前提で授業が進むということ。むしろ小学校での英語学習で確かな語彙力を身につけておかなければ中学校の授業についていけなくなるのは目に見えている。

そして文法内容

【中1】be動詞の過去形/過去進行形/there is(are)構文
【中2】疑問詞+不定詞/現在完了形/*現在完了進行形
【中3】*使役動詞(第5文型)*仮定法過去
これらは全て、従来は上級学年で学習してきた内容なのだが、それぞれが下級学年に降りてきた(因みに上記の中1は全て従来の中2内容)。中1に関していえば、小学生英語の内容を考えれば当該学年で学習するのが妥当ともいえる。けれども、やはり中2・中3には少々驚いた。*を打ってある文法事項はいずれも高校内容だ。中3から中2に現在完了形が降りてきて、同時に現在完了進行形も降りてくるとは…(汗)。

でも、現在完了進行形は現在完了形ができていれば理解は容易いし、使役動詞もmakeを使った第5文型が分かれば決して難しくないし、仮定法もif~の使い方が習得できていればそう悩む単元でもない。捉え方は人それぞれだけれど、誤解を恐れず言うならば、文法事項は今までの内容に“少し毛が生えた”程度と思っていい。ただ、少し大変なのは教科書改訂の過渡期の真っ只中にある現中1・中2(特に中2)かな。音読をますます習慣化してほしいと切に願う。

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