2019年度公立入試をザックリと振り返ってみる

公立入試が終わり、後は2/27の合格発表を待つばかり。受験者や保護者様にとっては落ち着かない日々を送っていることと思うけれど、ここでザックリと2019年度公立入試を振り返ってみたい。

◆学力検査
塾関係者が此処彼処で解説しているとおり、理科以外は昨年度より難化と言っていいかもしれない。各教科のザックリとした感想は以下のとおり。
【英語】
最後の対話文読解の英文量がグッと増加。英語がかなり得意な子にとっては例年並みと感じただろうけれど、それ以外の子にとっては最後まで終わらなかった子も多いのではなかろうか。速読・速解の力が求められる。
【国語】
漢字が難しく漢検準二級レベルまでは出来るようにしておきたい。また、文学的文章も受験生にとってはあまり読み慣れない内容だったのでは?最後の資料読解は具体例を記すまでに至るのが難しい。
【数学】
手堅く得点できる問題は残しつつも、各所に難問あり。確率の問題においては複雑なルールを読み解くだけで辟易としてしまう子もいたのでは?数学が得意な子ほど大きく点を落としている可能性がある。
【理科】
「これが今まで受験生を悩ませ続けた理科?」と思えるほど易化。悩ませる選択肢もほとんどない。旧制度入試の難易度に戻ったような感じ。易化しすぎたため来年の反動が考えられる。
【社会】
昨年度に引き続き難度は高め。もはや「社会=暗記」という固定観念は完全に捨て去るべき。選択問題がメインであるものの、絞り込むのになかなか大変。ドルとユーロの為替問題は悩んだ受験生が多かったのではないか。

◆特色検査
今年から変わった特色検査。これまで各校独自に作成されてきた問題から、一部の高校では県主導による共通問題+選択共通問題へ。ちなみに、湘南・希望ヶ丘・平塚江南・横須賀では、共通選択問題が全く同じ=全て同じ問題となった。ここではこの4校で出題された問題のザックリとした感想を。
【共通問題1】英文読解問題
資料を読み取って計算する問題があったけれど、特色を受ける子にとってはさほど難しいものでもない。学力検査の英語がしっかりとできれば問題なくできるレベル。
【共通問題2】文章読解をベースとした教科横断的問題
学ぶことの意義を説いた文章を絡めながら、数学や理科の問題に派生していく。まさに教科横断的な問題。これまでの平塚江南や柏陽に近い。
【選択問題1】立体・パズル的問題
湘南で出題されていた立体展開図の問題、そして希望ヶ丘で出題されていたパズル的問題から構成。解きなれない受験生にとってはやや苦戦したのではなかろうか。
【選択問題2】音楽をベースとした教科横断的問題
音符や音階という音楽の基本的な知識がないと解けない問題もあったけれど、音の高さや振動数というような、音楽よりもむしろ数学や理科の力が求められているという印象が強い。これが最も難しかったような気がする。

◆まとめ(中1・2生へ)
【学力検査】
以後も全体的な難易度は高く保ち続けられるだろう。今年の合格者平均点は昨年より数点下がり、260/500点前後かと思われる。マークシート導入3年目で、選択問題での難易度の調整も概ね図れてきたのではなかろうか。県としては、合格者平均を250点にしたいという方針があるため、全体として平均点が上昇=易化していくのは考えにくい。単純暗記ではもはや社会すらも太刀打ちできない神奈川公立入試、日頃から文章読解力、論理的思考力を鍛えることが求められる。また、パターン化された問題演習だけでは得点力の向上は難しいため、やはり全国入試問題で多くの問題に触れておくことが望ましい。
【特色検査】
共通問題の導入ということで、やはりある程度予想していたとおりだった。かつての旧制度入試における独自問題の共通化による事象に似ている(何が似ているかはここでは割愛)。
全体的には学力検査よりも難しめ。世の中のさまざまな動きに関心を持ち、また、情報を鵜呑みにするのではなく、良い意味で「疑う」目を持ち、常に「なぜ」を考えることを心がけておきたい。また、教科横断というのは5科ではなく9科であるということ(翠嵐や厚木では保体をベースとする教科横断)。つい後回しにしがちな実技4科も、決して手を抜かずに取り組む姿勢が求められる。
来年度以降は、今年度実施校以外に、進学重点エントリー校全てで特色検査が課される(近隣では小田原や茅ヶ崎北陵)。だからといって、必要以上に神経質になることもない。あくまで学力検査に向けての得点力を磨くことが特色検査でも活きるということが、今年の共通問題や共通選択問題から分かった。

ウルトラCはない。学校の授業を大事にして、基礎を疎かにせず、堅実に学問の王道を進むことが肝要。

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