壁に挑み続けるある中2生

とある中2生のお話。

昨年度の学年末頃に入塾してくれたその子は、決して勉強が得意な方ではなかった。けれども、ここに来てジワジワと力を付け始め、先の定期テストでは数学・理科で8割を超え、英語ではあともう少しで8割に届くまでに成長した。特に数学は大の苦手で、その原因が計算力を身につけてこなかったという典型的な中1次の躓きから来るものであることは明らかだった。英語に至っては語彙力・文法力いずれも足りないことだらけで、I am~/You are~という、それこそ中1の頭からの復習が必要な状態だった。けれども!だ。先に書いたように英数理の得点はいずれも軒並み急上昇中。

そんな彼女が今ぶつかっている壁が英単語。文法の理解は比較的できるようになったのだが、いかんせん単語力が乏しいだけに「分かっているのに正答に至らない」状態からなかなか抜け出せない。故に必須英単語180問テストを継続中。これは先の「夏の勉強合宿」で課していたテストで、合宿に参加してくれた彼女はこの壁に何度も跳ね返され、合宿中にはクリア出来なかった。壁に立ち向かい続ける彼女に、俺は言った。

「合格点は何点にする?自分で決めてみろ。」
すると彼女はこう答えた。
「172/180点で。」
「……!」
驚いた。単語を苦手とする彼女から、かなり高いラインを自らに設定することに。快諾した俺は、「そうか、頑張ってみろ。」と背中を押した。

そして数日後、再テストに挑んだのだが、結果としては敢えなく不合格。しかし、7割以上の正答率。最初に挑んだ頃と比べれば遙かに出来るようになっている。努力の足跡は確かにうかがえる結果だったため、そこでまた俺は彼女に問うた。

「残念だったな。力及ばず、だ。これからどうする?この単語テスト続けるか?自分で決めろ。俺の顔色など決して気にすることなく。合格するまで挑み続けるか断念するか。本当にどちらを選択しても構わない。こういうことは強要されてやるものではないからな。」
すると…
「やります。」

キッパリと言い切った彼女の答えは前者だった。頼もしく感じた。テストの点数が伸びているのも頷ける。小手先のテクニック云々ではなく、勉強に対する向き合い方というか、根っこの部分が変わってきたことこそが、今の結果に結びついているのを実感した。

ガンバレ、Y。

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