先日書いたブログ「公立高校の新制度入試について考えてみた」は、主に第1次選考について。今回は業界内で物議を醸している第2次選考について説明していきたい。ついでにこちらのブログ「変わる神奈川県公立高校入試」も参考に。
第2次選考の“闇”
“闇”というと大袈裟に聞こえるかもしれないけれど。実際“闇”だと思う。
これまで説明してきたとおり、今回の制度改定のポイントは、
①受験者一律の面接廃止
②二次選考における調査書(内申)の点数化
この②がヤバいのだ。改めて2次選考の基準がこちら(Bは学力検査の点数、Cは調査書の観点別評価「主体的に学習に取り組む態度」の点数)。
これまで第2次選考には調査書(内申)は一切含まれず、学力検査+面接(+特色)によるものだった。資料等が整わない受験者のためでもある。ところが、今回の改定では調査書がガッツリ含まれるのだ。観点別評価の一つである「主体的に学習取り組む態度」を、
A=3点 / B=2点 / C=1点として点数化し、
これらを9教科全てで合計点とする。
つまりオールAなら、3点×9科=27点、
ということになるのだ。
そして、この点数を100点満点に換算し、各高校毎の比率に乗じる。
では今回も同じく、弊塾の中3に関わりのある西湘高校を例にとって説明していこう。
西湘高校の第2次選考基準は「学力検査8:調査書(観点)2」。XさんとYさんが受験したとする。
Xさん:観点オールA(27点)/学力検査320点
【学力検査】320×100÷500×8=512
【調査書】27×100÷27×2=200
【合計点数】512+200=712
Yさん:観点オールB(18点)/学力検査350点
【学力検査】350×100÷500×8=560
【調査書】18×100÷27×2=133
【合計点数】560+133=693
従来の入試制度なら圧倒的にYさんが有利。そりゃそうだ、学力検査で30点も上回っているのだから。ところが新制度ではどうだろう。学力検査で30点も下回っているにもかかわらずXさんの方が有利になるのだ。全ては「主体的に学習に取り組む態度」によるもの。これまでのような入試一発勝負が難しくなったワケはここにある。とはいえ、この主体的云々は、定期テストのような客観的な数字による評価が難しく、評価する側の主観に左右されてしまうのが実際のところだろう。授業に臨む姿勢や提出物関連の精度(期限もナカミも)等がこの評価に大きく関わるところだからだ。だから、「第2次選考の“闇”」なのだ。「先生に気に入られた者勝ち」があってはならない。
ちなみに、多くの高校が上記の「学力検査8:調査書2」の比率で、次いで7:3が多い印象だ(「専門学科・コース」などは除く)。その中にあって、6:4の高校がある。
藤沢西高校だ。
湘南地区にある藤沢西高校は、毎年人気の集まる高校の一つ。弊塾からも何名か進学している。比率8:2でさえ観点別評価次第では「入試でいくら点数を取っても…」であるのに、それが6:4ならなおのこと。たとえ成績に4や5が並んでいても、「主体的に学習に取り組む態度」がトータルで低くては、たとえ入試で頑張っても報われなくなってしまう。ただ、藤沢西高校はそれだけ、積極的に学ぼうとする生徒が欲しいということ。高校のカラーが如実に表れていると見て取れる。
結論
成績が同じ4や5でもそのナカミに注視を。「主体的に学習に取り組む態度」はAを目指すべし。そのためには日々の取り組みが超重要。
提出物関連(ワークやレポート)の精度を上げられるような努力を。
「ヤッツケ仕事のようになっていないか?」
「解答の丸写しになっていないか?」
授業中の取り組みに積極性を。
「ただ板書を写すだけになっていないか?」
「持参物を忘れていないか?」
そのうえで、早期に過去問に着手し、実力に磨きをかけよ。
中にはもちろん面倒くさいこともあろう、やりたくないこともあろう。
そんなことは大人も同じ。重々承知だ。でもな、面倒なことでも、やりたくないことでも、こういうことをキッチリとできる人間というのは、高校、大学、そして社会に出てからも強い。道を切り拓いていける人間になれる。
ガンバロウ!中3生!!!