※今からおよそ15年前の話です。朧気な記憶を辿りながら綴っています。なお、公立高校の入試制度は現行のものとは異なり、前期選抜/後期選抜という2段階の選抜がありました。
<前回(その4)の話はこちら>
夏期講習が始まって程なく、親にウソをつき塾をさぼったKを強烈に叱り飛ばした。涙を流し、その日は元気なく帰ったK。その後、塾に来てくれるかどうか一抹の不安を抱えながら迎えた中3の講習日。
「こんにちは。」
Kはちゃんと来てくれた。
『おう、こんちは。』
特にふてくされたり、気を抜いたりした態度をとることもなく、真面目に授業を受ける姿がそこにはあった。以後は、一度も欠席することも遅刻することもなかった。
そして、講習も終わろうかという時期、2学期以降の正規入塾をするかどうかを決めることとなった。講習当初こそ、塾をサボるような不真面目な面もあったが、その後は特に問題もなく、真面目に授業を受け、周囲に迷惑をかけるようなこともなかったため、入塾を許可する方向で考えてはいたが、一度強烈に叱り、厳しい塾であることを思い知らされたKだ、このまま頑張ろうという意思はないかもしれない、というのが正直な気持ちだった。
ところが、Kの出した結論は意外なものだった。
「このままここで頑張りたいです。」
今もそうだが、入塾するか否かは本人の意思を最も尊重している。親に行けと言われて入塾したところで、本人のやる気がなく、「通わされている」という気持ちのまま通塾しても成果は見込めない。
『本当に自分の意思で頑張りたいと思ってるか?』
「はい。」
『お父さんもOKしてるか?』
「はい。」
K自身の意思を確認し、お父様には講習中の様子の報告を兼ねて、入塾の可否について改めて確認させてもらった。
「はい、Kもやる気があるようですので、宜しくお願いします。」
『ありがとうございます。出来る限りのことをしていきます。』
Kの正規入塾が決まり、夏休みが終わった。学校も2学期が始まり、塾も通常授業が再開。そこには、今までのKとは到底思えないような姿があった。
<続く>
教え子シリーズ①はこちら▼
ある教え子のこと①

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