「早いうちから学習内容を先取りしておけば、後々ラクになるだろう。」
そう信じて、かなりのスピードで子どもに先取り学習をさせている親御様はいらっしゃるものだ。しかし、長く学習塾という指導現場で子どもたちと接してきて・・・
「先取りという“貯金”だけで乗り切れるほど、勉強や受験は甘くない。」
そう断言できる。むしろ、無茶な先取りをしてしまったことにより、学年が上がっていくにつれて学力が低下の一途を辿るケースすらある。
無茶な「先取り学習」が学力低下を招くことも
理由は至ってシンプル。脳の発達が追いついていないのに、上級学年の内容を詰め込もうとしてしまうから。すると、子どもは「なぜそうなるのか」を考えず、ただ「解き方(パターン)」の丸暗記だけでその場を乗り切ろうとする。
例えば算数。覚えた公式に数字を当てはめて解くことだけに慣れ、たとえ“ちゃんと”理解していなくても、低学年や基本的なレベルのテストならそれなりの点数が取れてしまう。英語も然り。よくあるのが定型文などの暗記に偏った勉強。中学1年生ぐらいまではそれでも何とか通用する。すると、親御様は「うちの子はできる」と安心し、子どもも「自分はできる」と過信するようになる。
しかし、学年が上がり、抽象度の高い学習内容に触れた途端に、この“メッキ”は無残にも剥がれ落ちていく。「考える力」を鍛えてこなかった子は、丸暗記したパターンが通用しなくなった途端に・・・“止まる”。また、先取りにより「この内容はとっくに勉強してるから大丈夫」と、高をくくり、学校の授業を真面目に聞かなくなり、ますます成績が落ちていく。
だから、弊塾では、無茶な先取りはしない。学校の少し先、中学英語で言えば1Unit分程度だ。ただ、受験学年に限っては、学校があまりにものんびりペースの場合は結構先を行くこともある(受験に間に合わないので)。
「学力崩壊」を防ぐためには
親御様の焦る気持ちはよく分かる。けれども、本当に必要なのは「進みの速さ」ではなく「理解の深さ」だ。今までは順調だったのに・・・と、我が子に感じている親御様は、アプローチの仕方を変えてみてはどうだろうか。
①子どもに説明させてみる
正解した問題に対して、「これ、どうやって解いたの? お母さんに教えてみて。」と尋ねて、自分の言葉で説明できていれば大丈夫。そうでなければ、それは理解しているのではなく、ただ丸暗記しているにすぎない。正解<理解という重要性を気づかせる必要がある。
②「速さ」ではなく「深さ」を意識させる
とにかく先に進めるという速さではなく、現学年の「ちょっと難しい問題(じっくり考えないと解けないような問題)」に挑戦させる機会を増やすことで、理解に深みを持たせる。すぐに諦めさせず、「アアデモナイ、コウデモナイ・・・」と考え抜かせる経験が後々伸びるための土台になる。
③学校の授業を「より真剣に受ける」ことを約束させる
たとえ塾などで先取りしている内容であっても、「学校の先生はどうやって説明するかな?」という視点で、学校の授業をしっかりと聞くように促す。知っていることでも謙虚に学び直すことの大切さに気づかせる。
親御様へ:
大事なのは「先取り」よりも「深掘り」
周りのデキル子が、どんどん先の学習を進めているのを見ると、親として焦る気持ちは痛いほどよく分かります。しかし、焦って無理に背伸びをさせ、中身が伴わない“ハリボテ”にしてはいけません。大切なのは、“基礎練”を何度も繰り返し、揺らぐことのない強固な基礎学力を土台に、難しい問題にも諦めずに果敢に挑戦する姿勢を身につけることです。その泥臭いとも言える過程を積み重ねた子だけが、入試本番、まさに勝負どころで「たくましい学力」を発揮するものです。
そのためには、まずは読む力を身につけることです。読解力が著しく乏しいと、先取り学習による弊害はより一層顕著になり、学年が上がるにつれて、成績は下降の一途を辿ります。英語だ数学だと言う前に、まずは国語、読解力。これを本当に大事にしてください。

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