中3受験生にとっては事実上最後と言っても過言ではない、第3回定期テストまで2週間を切った。
「このテストを乗り越えれば内申点が確定する。いよいよだ。入試に向けてここから本当の戦いが始まる。」
この時期になってくると、否が応でも塾講師として受験に向けて意識が高揚し始める。決して大袈裟な話ではなく、受験は筋書きのないドラマのようなものだ。ホンキであればあるほど、中3受験生一人ひとりがその“主人公”に見えてくる。

これまで様々な“主人公”を見てきた。一人ひとり、今でも鮮明に記憶に残っている。その中でもとりわけ強烈なインパクトを残した子たちのことを一部紹介したい。
英数を克服!入塾時から卒塾時の成績が爆上がりしたN(前職の塾)
中1の3学期に入塾してきたN。英数の基本がほとんど身に付いていなかったため、連日呼び出し補習を実施。英語はbe動詞・一般動詞の使い方がトンチンカン、数学は方程式が極めてあやしい状況。英語の基本中の基本、数学の方程式、これらがままならないというのがどれほどマズイ状況か、想像に難くないことだろう。しかも中1の3学期で、だ。物静かだが、素直さと芯の強さの両方があるような子で、ちょっとやそっとのことじゃへこたれないタフさもある。だから、厳しい指導に泣きながらも必死で食らいつき、成績は徐々に上昇。英語は得意教科にまでなり、最終的に43/45、驚異の13段階UPを成し遂げ、第一志望の平塚江南に合格。イラストなどが好きだったNは、その後は多摩美術大学へと進学し、デザイン系の会社に就職。CLEAR開校をどこかで聞きつけたらしく、ロゴのデザインなど、何か力になれることがあったら連絡をください、と名刺をいただいた。今も元気にしているだろうか。
塾が第二の家?目標を見出してから覚醒したN(前職の塾)
「Nが家で勉強するようになったんです!」
面談時に親御様が驚きと喜びの声を上げながら言われた。今でも覚えている。そう、全く勉強しなかったN。入塾したのは中2の2学期。当初の成績はオール3もなかった。でも、何をきっかけにやる気に火がついたのか、入塾後ほどなくすると、「塾はオマエの家か?汗」とツッコみたくなるほど自習しているNと顔を合わせるようになった。もともと能力はある子だったため、勉強量に比例してメキメキと力はつき、テストの点数も上がった。ただ授業態度等が問題でどうしても成績が付かない。オール3になるのがやっと。そんなNが目指していたのは、あろうことか平塚江南。無謀とも思える挑戦をしようとしたが、「二次選考狙いなら可能性はある。ホンキなら頑張ってみろ。」と、俺は背中を押した。でも、やはり現実はそう甘くなかった。どうしても模試の結果が合格ラインに届かない。最終的に大磯に志願変更し、合格。それでも、Nの内申を考えれば、大磯でも大逆転の合格だった。
評定1も?中3の1学期の成績が20にも満たなかったK(前職の塾)
評定1が複数あり。成績が20/45にも満たなかったKが入塾してきたのは、何と中3の夏期講習から。時期が時期だけに、条件付きで入塾を許可した。評定に1が付くような子だ、学力以前に学習姿勢に難があるのは承知していたが、一度だけ烈火の如く叱責した後は、言葉遣いや授業に臨む姿勢も激変し、授業のない日は自習に来てはと、それこそ生まれ変わったかのように真面目に勉強するようになった。成績も1は消えてオール3程度まで上昇した。努力が評価され自信につながったのか、茅ヶ崎を第一志望に。入試本番ギリギリまで目指したが、なかなか模試の結果が奮わない。最終的に茅ヶ崎西浜に志願変更し合格したが、当初は公立合格そのものが難しい状況だったことを考慮すると、Kもまた大逆転合格であることは間違いない。
入塾当初は「目指せ小田原!」…も、やる気に火がついたM(CLEAR)
MがCLEARの門を叩いてくれたのは中2の春。とても真面目そうな子で、当初の第一志望は小田原だった。中2の秋頃だったか、努力が結果となって表れ始め、学校の成績や学力テストの点数も着実に伸びていった。今のような頑張りが受験まで続けられるなら…そう思って志望校を湘南にしてみてはどうかと勧めてみた。本人にとっては寝耳に水だったようだが、次第に意識し始め、学校説明会にも行き、ついにはホンキで目指すことに。ギアが完全に一段階、いや二段階上がってからの頑張りは凄まじく、中3の第3回定期テストでは学年トップを獲得。努力の鬼と化したMは、勢いそのまま貪欲に高みを目指し続け、湘南に合格。ちなみに高校部も継続してくれて、大学受験でも第一志望に合格。
中2で成績が30まで落ち込むも中3で挽回!本番の勝負強さも際立ったA(CLEAR)
小6の夏に入塾してくれたA。時に空気が読めないところもあるが(汗)、いつも陽気でクラスの雰囲気を明るくさせてくれていたのが印象的。決して自分から勉強するようなタイプではなく、とりあえず言われたことはやる程度。そんなAが身を持ち崩し始めるのが中2。学習意欲はほぼなくなり、いわゆる典型的な中2病(もはや死語?汗)に。塾をサボったことも…(笑)。成績は30/45まで落ち込んだ。ところが、中3になってから持ち直す。自己を見つめ直し真摯に進路と向き合うようになった。点数の割に成績が付かないのは授業態度や提出物のせいと反省し、学校での学習姿勢も改善、何と40/50まで成績は上がった。目指すは平塚江南。しかし、内申はともかく模試で結果が出ない。志願変更を勧めたこともあったが、意を決してそのまま挑むことに。我々の心配をよそに本番では最高得点を叩き出し、見事に合格。高校部も継続してくれて、大学受験でも第一志望に合格。「学校の先生になる」という夢に向かって今も邁進中。
記録更新は不可能?定期テストで伝説的結果を叩き出したA(CLEAR)
中1の夏に入塾してくれたAは、前述のMに負けず劣らずの努力の鬼のような子。加えて負けず嫌いも相まって、Mをも凌ぐ定期テスト結果を叩き出すことになる。それは、内申点を決する事実上最後の定期テスト、中3の第3回定期テストのこと。5科計242/250、9科計439/450。これは今でも破られていない、もはや伝説的とも言える結果。中1ならまだしも中3でこの結果は凄まじいとしか言いようがない。おそらく今後も破られることはないだろうとも思いつつも、「誰かに記録を更新してほしい」と、やはり心のどこかで願ってやまないのも本音。「定期テストと入試は別」と、この結果に胡座をかくような素振りは微塵も見せなかった。Aの強みは、自身の至らぬ点を謙虚に認め、それを克服するための努力を惜しまず出来るところにある。また、責任感も強く、一度決めたことはやり抜く。それが見事に活かされ、小田原に合格。
今年はどんなドラマが紡がれるのだろうか。
中3受験生、CLEAR第10期生の皆、
今度はキミたちの番だ。
