夏休み明けから冬休み前まで=3学期制でいうところの2学期、は1年の中で最も勉強に専念したい時期。
なぜならこの時期は、夏休み前や冬休み明けより期間が長く、各教科の重要単元を学習することになるからだ。特に中1は学習レベルが一気に上がるので、最も“危険”とも言われている。いわゆる“デキルはずの子”が、この時期を境に学習面で苦しみ始めるケースが多い。そんな鬼門の夏休み明け。中1・中2、そして小5の順にその理由を具体的に説明していきたい。
中1:最もつまずきやすく成績の急降下も…。
中1の夏休み明けから冬休み前までは超重要。夏休み前の定期テストは、中学生活が始まったばかりで基礎的な内容が多く、テスト範囲も狭いため、高得点がとりやすまるい傾向がある。けれども、夏休み明けは授業日数が多く、テスト範囲も広くなる。 また部活に馴染み中学生活が楽しくなってくる時期でもあるので、どうしても勉強以外に興味が向いてしまう時期でもある。そのため、この時期に成績が急降下してしまう子が多い傾向にある。なぜなら5教科全ての内容が一気に難しくなるからだ。しかも、ここでつまづくとその後の中2・中3でも授業についていけなくなる可能性が高い、非常に重要な単元が続く。ここでは英数の2教科に絞って言及したい。
【英語】最初の大きな“山場”が待ち受ける!
夏休み前までは単語をしっかりと覚えて、教科書本文の暗唱ができる程度で何とか点数が取れたはず。しかし、夏休み明けは文法事項が一気に増え、 「疑問詞」「代名詞」そして 中1最大の山場である「一般動詞の三人称単数現在形」、通称“三単現” が登場する。新出単語の量も増え、スペルの長い単語も多くなるため、今までそれなりに出来ていた子も徐々に学習ペースが落ちてくることが多い。
【数学】これを習得しておかないと以後何もできない…?
「文字式」と「方程式」という数学において重要な新しい概念 を学習することになる。この2つの概念は、後の数学のすべての基礎となる。「文字式」と「方程式」の単元で、十分な演習量を積み、自分のものにできているかどうかが、この後の中学・高校の数学の成績に大きな影響を及ぼす。また、その後には比例・反比例と続くため、関数もきっちりと理解して使えるようになる必要がある。
中2:英数いずれも入試最頻出単元が揃い踏み
中2の夏休み明けといえば、部活で中3の先輩が引退し主役になる時期。出場試合などが多くなり、リーダーシップを求められ、活動量も増えてくる時期だ。一方、英語・数学の学習内容がもう一段難しくなる時期で、中学3年間の中でも最難関の単元が続く。中1の基礎がしっかりできていない子には理解が難しく、急激に苦手に感じ始めて大きな壁に直面する。“中だるみ”と揶揄されがちな学年だが、だからこそグッと踏ん張って乗り越えることができれば後のアドバンテージとなるに違いない。
【英語】「難しい…」、そんな呼び声が高い文法事項のオンパレード!
いつの時代も多くの中学生が「難しい…」と口を揃えて言う、「不定詞」「動名詞」「比較」、これらを学習するのが中2。 習得すべき文法事項も増えてきて、きちんと自分のものにしていかないと、混乱してしまうだろう。英語は、それまでに学んだ文法や単語が全て身に付いているという前提で教科書が作られているため、“ワカッタツモリ”になっている文法事項やうろ覚えの英単語が多いと、英文を読むことも書くこともままならなくなってくる。文法事項の積み残しをなくすために、常に復習を心がけることが大切だ。
【数学】「数学の入試問題といえば…」合否を分ける超重要単元!
「数学の入試問題と言えばこれ!」 と言われる重要単元、「1次関数」「合同と証明」を中2で学習する。特に関数は苦手に感じる子が多い単元だ。 概念を本当に理解していないと全く何をやっているのかわからない状態になりがちで、高校進学後も尾を引く単元。そして 、最大の山場である「合同と証明」 では、証明問題に苦戦する子が多い。これまでの数学とは異なり、言葉で数学的な概念を説明するという、より論理的な思考が求められるため、苦手に感じてしまう生徒が多く、入試でも大きく差がつくところだ。ここをチンプンカンプンのままにしてしまうと、中3で学習する「相似と証明」ではそれこそ悲惨な目に…。とにかく最初が肝心だ。
小5:算数“難民”が続出…?学力格差の分岐点。
小5の夏休み明けは、学力格差の大きな分岐点となる時期。夏休み明けの算数では、特に混乱する子の多い「通分を用いた分数の足し算・引き算」「割合」「速さ」が登場する。中学生になって数学の勉強で計算が得意でない子は、実は「通分を用いた分数の足し算・引き算」を上手に使いこなせていないことが多い。そのため、小5までにしっかりと基礎を身に付けておく必要がある。
また、「速さ」は“文章題=難しい”と思われる典型で、「割合」はその概念をしっかりと理解できていないと、他の教科にも影響を及ぼしてしまう。いずれも確実に習得しておきたいところだ。
つまずきやすい時期、早めの対策を。
小5・中1・中2は、「夏休み明け~冬休み前まで」が非常に重要であることは理解してもらえただろうか。多くの子がつまずく原因の一つは、演習量の不足。日常生活の感覚から離れた概念を自分のものにするには、十分な演習量の確保が不可欠。学校の宿題だけでなく、多くの問題を解くという反復練習を通じて、しっかりと自分のものにしてもらいたい。また、つまずきやすい単元というのは、逆にここをしっかり身に付けておけば、今後も苦労することなくスムーズに学習を進めることができるということでもある。これらの難関単元をしつこいほど繰り返し繰り返し復習することで、チャンスに変えられる可能性がある。
以上、長々と書きましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます^_^
ガンバロウ、小中学生!